ランニング用語事典

疲労★

tired

たまった疲れを取り除きたい

●疲労の原因とそのメカニズム
疲労はさまざまな要因が複雑に重なって起こり、主に次の3つに大別される。
 ・エネルギー源の消耗による疲労
 ・主に筋肉を動かすエネルギー源(グリコーゲン)の消耗
 ・内環境(体調)の変化(失調)による疲労
神経系の働きの低下、疲労物質(乳酸など)の蓄積、内臓疲労や筋線維の破壊(筋肉痛)など
欠乏性貧血による疲労

▼エネルギー源の消耗による疲労には…
筋肉を動かすエネルギー源は糖質(グリコーゲン)。長時間ランニングを行うと、体内に貯蔵しているグリコーゲンが減ることによって筋肉が急に動かなくなり、疲労を感じる。これを回復させるには糖質の早期補充が最重要。消費してしまった体内のグリコーゲンを回復させるためには、摂取してから最低20時間以上かかるため、グリコーゲン回復のためには糖質を多く含む消化の良いものを食べることが望ましい。

グリコーゲン
【効果的なとり方】
グリコーゲン回復のために、グリコーゲンの源となるブドウ糖とグリコーゲンの合成を早めてくれるクエン酸を同時に摂取すると疲労回復効果が促進される。合わせてタンパク質もとるようにすると、血中に出されたブドウ糖の筋肉への取り込みが活発になり、グリコーゲンを合成する酵素の働きが活性化され、よりグリコーゲンの貯蔵量を増やすことができる。
【多く含まれる食品】
ごはん、パン、麺類、芋類、果物
クエン酸
【多く含まれる食品】
レモンやライム、グレープフルーツなどの柑橘類
ブドウ糖

▼内環境(体調)の変化(失調)による疲労には…
糖質を含む食品に加え、疲労回復を促進するビタミンを意識してとるとよい。ビタミンB群、とりわけビタミンB1は必須。また、体調不良時は抵抗力が落ちていることが多いため、抗酸化ビタミン(A・C・E)も意識してとるようにしたい。アスタキサンチンなど抗酸化力の高い栄養素の摂取も有効。
ビタミンB群
【こんなランナーに】
疲労時、貧血時、減量時、カーボローディング時など
【効果的なとり方】
水溶性であるため、こまめにとる。レース前は炭水化物の効率的な代謝のために、ハードなトレーニングが重なった時は疲労回復のために、普段より必要量が増える。サプリメントにもあるように、B群を複合して摂取すると効果が上がる。
【多く含む食品】
豚肉、レバー、豆類、緑黄色野菜、卵、乳製品、穀類
ビタミンA
【こんなランナーに】
粘膜や皮膚が荒れている、視覚機能が低下、活性酸素に悩む人
【効果的なとり方】
脂溶性ビタミンは、体内に蓄積させることができる。しかし、一度に大量摂取するよりマメに摂取する方が効果的である。カロチンもビタミンAも加熱調理による損失はほとんどない。ビタミンAは成長作用、免疫機能など、体内で重要なはたらきを担っている。
【多く含む食品】乳製品、卵、レバー、緑黄色野菜、うなぎ
ビタミンE
【こんなランナーに】
疲れている時
【効果的なとり方】
抗酸化ビタミンのひとつ。ビタミンA、Cと同時に摂取すると抗酸化作用効果が上がる。抗酸化作用により、生体膜を安定させ、溶血性貧血の人の溶血率を低下させるともいわれている。
【多く含む食品】植物性油脂、緑黄色野菜、ナッツ類、うなぎ、あゆ、はまち
ビタミンC
【こんなランナーに】
疲労時、ストレス時、緊張時、貧血時
【効果的なとり方】身体にストックされないため、こまめに摂取する必要がある。しかし、熱に弱く、調理によって失われやすい性質を持っているため、サプリメントなどで補うのもよい。また、鉄分など、他栄養素の吸収を促進する役割も多いので多く含む食品が常に食卓にあるのが理想。
【多く含む食品】
柑橘系果物、イチゴ、ブロッコリー、ほうれん草
アスタキサンチン
【こんなランナーに】
疲労回復を速めたい、トレーニング量を無理なく増やしたい
【効果的なとり方】
成分が日常的に体内に存在することで、最も効果を発揮する。生活習慣の中で取り入れやすい方法、回数でとることが望ましい。
【多く含む食品】えび、鯛など赤い色をした魚介類

▼欠乏性貧血による疲労には…
十分な睡眠や休養をとっているにも関わらず、トレーニングをするとすぐに疲れてしまう、頭痛やめまいが起きるなどの自覚症状があるときは、鉄欠乏性貧血、すなわち貧血を疑う必要がある。貧血はランニング時、着地時の衝撃により毛細血管内の赤血球が破壊され、体内でのヘモグロビン産生が不十分になるために起こる。鉄は体内では貯蔵鉄としてストックされるが、鉄の摂取が減少すると、貯蔵鉄を使うようになるため、貧血の悪循環を起こしやすくなる。普段より呼吸が荒い、末端がしびれるなどの症状がある場合は貧血を疑った方がよい。貧血の症状があるときはトレーニングを行ってもパフォーマンスが上がらない場合が多いので、身体への衝撃を考え、追い込んだ走り込みは極力避けるほか、血液をつくる栄養素(鉄・タンパク質)と、鉄の吸収を助けるビタミンCを積極的にとることで効果が期待できる。


【こんなランナーに】
貧血に悩む人、貧血予防に
【効果的なとり方】
鉄欠乏性貧血予防のためには、鉄とたんぱく質が多く含まれている食品をふだんから摂取するとよい。鉄が多い食品は亜鉛や銅を含む場合も多く、これらの栄養素は鉄と正の相関を示すため、意識してとりたい。さらに鉄の吸収を促進させるビタミンCも同時に摂取するとよい。
【多く含む食品】
レバー、ほうれん草、ひじき、木綿豆腐

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