私たちは休みなく呼吸することによって、空気中の酸素を体内に取り込んでいます。その酸素は、体内で脂肪や炭水化物(グリコーゲンやブドウ糖)を燃やしてエネルギーを作り出しているのです。こうして作り出されたエネルギーは、私たちが生きていくために使われます。脳も、神経も、内臓も、筋肉も、体内に酸素を取り入れなければ正常に働くことはできません。
したがって、人間が健康的に生活していくためには、体内にしっかり酸素を取り入れる必要があります。その能力の指標となるのが「最大酸素摂取量」で、これは<ml/kg/分>の単位で表されます。1分間に、体重1kgあたり、最大で何mlの酸素を取り入れられるかを表したものです。
ある研究によれば、1km7分ペースで移動するような強度の運動(これはゆっくり走るペースです)をしていると、40ml/kg/分の最大酸素摂取量を維持できることがわかっています。運動によって体内の酸素の必要量が高まるため、それを取り入れる能力が鍛えられるのです。
いきいきと活動的な生活を実現するための最低ラインは、30ml/kg/分以上と考えていいでしょう。これを維持するための1km7分というペースは、歩くのはちょっと大変。やはり、ごくゆっくり走るペースとなります。これが「走ると身体にいい」という理由のひとつなのです。