レース中に、これまで快調だった選手が急に走れなくなることがあります。ランニングを続けていると貧血状態になるためです(スポーツ性貧血)。貧血になると、体内組織が低酸素状態となり、動悸、息切れ、めまい、耳鳴り、頭重感、疲労倦怠感、四肢冷感などの症状が表れます。調子が上がらない、疲れやすい、なかなか疲労がとれない……。調べてみたら、貧血だったということはよくあります。
貧血の主な原因には、足底に負荷のかかるハードな運動の結果、赤血球が壊れ、血中の鉄分が流出するということが考えられます。また、発汗、血尿、消化管からの出血などによる鉄喪失もあります。ですからスポーツを続ける限り、失われる以上に鉄を補うことが必要になってきます。
スポーツ性貧血の治療としては、食物にふくまれる鉄、たんぱく質、ビタミンB12、C、銅などを十分に(できれば通常の1.5~2倍)取ることです。特に、動物性食品にふくまれるヘム鉄の摂取量を増やします。穀類、海草、緑黄色野菜に多い非ヘム鉄の血液への吸収率は2~5%に過ぎませんが、ヘム鉄は15~25%になります。つまり、植物性の鉄はあまり期待できないわけです。
食事療法に加えて、鉄剤補助食品を利用するのもいいでしょう。女性は特に貧血になりやすいので、日頃から気をつけておきたいものです。また、貧血を予防し、回復する方法として、筋力トレーニングも有効です。
●鉄を多くふくむ食品には以下のものがあります。
<動物性>
煮干し、干しアミ、豚レバー、鶏レバー、牛レバー、しじみ、あさり、ヤツメウナギ、アユ、レバーソーセージ、レバーペースト、鶏卵など
<植物性>
ひじき(乾燥)、焼きのり、干しのり、ごま、切り干し大根、大豆、凍り豆腐、パセリ、きな粉、湯葉、小麦胚芽、いんげん豆、ほうれん草など